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【Ⅰ】造形カリキュラムの基本的な考え3.造形活動理解の軸となるいくつかのこと(1)印象と表現ゆたかな印象がなければゆたかに表現することはできません。造形活動において保育者がまず心がけることは、子どもたちがゆたかな印象を享受できる環境を準備し、印象に残る経験を共有することです。ゆたかな印象はそれを共有する人を必要とします。春であれば岩屋神社の境内には桜の花が咲き誇り、鎮守の森に鶯が歌いますが、子どもたちは桜吹雪や鳥の歌の上達に無自覚的です。傍らにいる保育者が子どもと経験を共有し、その経験を言葉に置きなおし、その経験がもたらす情動の変化を子どもに伝えることで、経験の共有が情動の共有でもあることを子どもたちに伝えなければなりません。どんなにゆたかな印象も、保育者が共有しなければ子どもたちはそれを自身の経験とすることができないのです。子どもにゆたかな表現を求めるのなら、日々の保育が、毎日がその子にとってゆたかであることが大切です。Impression(印象)とexpression(表現)を比較してみると、自分のうちに向けてプレスするのが印象で、自分から外へ向けてのプレスが表現であることがわかります。ですから子どものゆたかな表現は、結局のところゆたかな保育によるよりないのです。 |