造形カリキュラム


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【Ⅰ】造形カリキュラムの基本的な考え

2.造形活動とは何か

(4)人との関連において
 造形活動において人(他者)は、ふたつの様相に出現します。ひとつはテーマとして描かれ、取り上げられる人です。さきのマーブリングによるカード作りでいえば、お父さんお母さんです。そしてもうひとつは、ともに描き作る人です。描き作る子どもたちは、このふたつの様相に現れる他者と活動を展開してゆきます。
 描かれるモデルとしての人とは、自分との関係性に現れるイメージによって描かれます。少し範囲を拡げれば、その対象が人ではなく犬やライオンといった動物の場合もあるでしょうし、工作であればくるまやおうちの場合もあるでしょうが、いずれにしてもモデルと自分との関係に立ち現れるイメージの連続が描画や工作の作業を維持することになります。
 ともに描き作る人は、保育者と仲間たちです。この人々はいまここに現前する人たちであり、同じ時間を生きる人々です。ですから、活動の展開に深く関わってくることになります。保育の場の造形活動は、芸術家のそれのように孤独な作業などではありませんから、会話が弾み、他者の活動が自分の活動に影響を与えます。影響しあうというよりも、ともに描き作り出すといったほうがふさわしいかもしれません。それはたとえば、描画に付された保育者のコメントです。保育の場で子どもが描く絵は、子どもによって描かれた画面と、保育者によって綴られたドキュメンテーションによって、一つの作品となります。観賞するものはその両方から、子どもの中に展開したイメージの連なりを受け取ることができるのです。

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