造形カリキュラム


  • 電車のまわりには大好きな果物も沢山描いてみました。

【Ⅰ】造形カリキュラムの基本的な考え

2.造形活動とは何か

(1)象徴機能との関連において
 描くことも作ることも、いま・ここにはないものを生みだす行為です。では子どもになぜそれが可能なのでしょう。それは子どもの象徴機能と深い関連があります。こども園でお母さんを描くとき、お母さんは目の目にはいません。グリニッジのお城は架空の城ですから、もちろん実物をまえにして模作することはできません。それなのになぜ子どもたちにそれが可能なのでしょう。
 それは、子どもたちに見立てる力が育っているからです。たとえば積み木をバスに見立てて子どもが遊んでいると、何しているの?と尋ねなくても、私たちにはそれがバスごっこであることが分かりますが、子どもが積み木をバスに見立て、その見立てがバスごっこだと私たちに分かるのは、子どもも私たちもバスイメージを共有しているからです。このイメージする力によって子どもたちは、いま目のまえにはないものでも描いたり、作ったりできるのです。そして何を描いたのか、何を作ったのかが私たちに分かるのは、子どもと私たちがイメージを共有するからです。これを象徴機能といいます。
 この象徴機能には、もう一つ大切なはたらきがあります。それはバスであればどんな色の、どんな形の、どんな大きさのバスをイメージしても自由であることです。バスでなければならないという制約の中で、バスであればどのようなバスでもよいという自由。この制約の中の自由こそ、子どもたちに与えられたほんとうの自由なのです。そしてその制約の中の自由こそが、造形活動において子どもたちを愉快にするのです。

もどる    すすむ