音楽カリキュラム編成の基本的な考え方


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【Ⅱ】音楽カリキュラム作成のために

2.表現される音楽について心に留めておきたいこと

 表現される音楽についての留意事項の要点はすでに何度か取り上げてきましたので、ここでは子どもと音楽を楽しむことの意味について考えておきたいと思います。
 ホールに楽器を並べて一緒に演奏したり、オペレッタの練習を楽しんだり、岩屋こども園アカンパニでは、子どもたちと音楽活動を楽しむ機会が豊富にあります。そのような経験が土台となってコンサートや発表会が終わった後にも、子どもたちが音楽で自分を表現したり、落ち込んだ気持ちを立て直す場面に出会うこともしばしばです。たとえば、仲良しの年長女児が3人で作詞作曲して、こども園中の先生に聴かせて回ったことがありました。
 あるいは、自閉症を抱える年長男児がドラムセットを演奏する保育者を真似て、見事な撥捌きを披露してくれたこともありました。ドラムを担当していた保育者が歌う歌に合わせて、ドラムセットを操り、ただ闇雲に打ち鳴らすのではなく、まるで譜面を読んでいるかのように譜面に忠実な演奏でした。2人のセッションは何週間も続きました。それはクラスの練習が終わってからの特別な時間でした。それは音楽によるコミュニケーションそのものでした。やはり自閉症を抱える年中女児は、いつでも鍵盤ハーモニカを持ち歩いています。気が向くと取り出して演奏します。すぐに吹けるように歌口のホースは挿したままにしてあります。きっと気持ちが落ち着くのでしょう。自分を鍵盤ハーモニカ演奏に託すことができるのでしょう。
 さて、最後にエピソードを一つ取り上げて、「音楽カリキュラム編成の基本的な考え方」のまとめとします。

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