音楽カリキュラム編成の基本的な考え方


  • キャプションが入ります。
    キャプションが入ります。

【Ⅱ】音楽カリキュラム作成のために

1.表出される音楽について心に留めておきたいこと

(3)アコースティックな響きを大切に
 乳児期の子どもたちの造形活動がそうであるように、音楽活動もまた、そもそもの素材は戸外にあります。鳥の声、小川のせせらぎ、風の音、樹木の葉音などは直接耳に届く音ですが、鳥の羽ばたきや小川に浮かぶ波紋、木々の揺れなどは、身体の動きがそうであるようにリズミカルな繰り返しです。そのように動くものでなくても、錦秋の岩屋山には、色彩が織り成すリズムやハーモニーを感じ取ることができます。あるいは植栽や植え込み、柵などが等間隔に並ぶ様子もやはり、律動の繰り返しを伝えています。もっと小さな世界に目を向けると、葉脈の模様やバッタが飛び立つ瞬間にも、リズムを感じることができます。このように戸外は、耳と目で聞く音楽に満ち満ちています。それらはアコースティックな響きであり、心地よい安らぎやときに驚きを私たちに与えてくれます。
 自然界がそうであるように、人もリズムを生きています。鼓動に始まり、歩くことや走ること、話すこと、押したり、引いたり、磨いたり、洗ったりといった動作、道具を操ること(たとえば鋸や金槌、鉋など繰り返しの動作によって使う道具はたくさんあります)など、人の日常生活における動作や行動にリズムはいくらでも見つけだすことができます。
 保育の場の子どもたちが、このような音楽以前の音楽や表出される音楽の世界に生きることをまずは弁えていることが、保育者が音楽活動のカリキュラムを考えるうえで大切です。

もどる    すすむ