音楽カリキュラム編成の基本的な考え方


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【Ⅰ】保育の場の音楽とは何か

3.保育の場において、音楽の三要素がもつ意味

(3)ハーモニー(和声)
 ハーモニーと色彩はよく似ています。目だたないのだけれども、音楽や絵画に少なからず影響を与えます。メロディにばかりとらわれてハーモニーが与える曲調への影響に無頓着であるのは、描画において"かたち"にばかり目がいき(何が描かれているかしか見ていない)、"色使い"に気づかず、絵が与える印象が色彩に大きく依存していることや、一人ひとりの子どもの持つ色感に気づかないようなものかもしれません。ハーモニーが与える曲調への影響は、同じメロディに異なるハーモニーを与えてみれば(リハーモナイズといいます)よく分かると思います。
 誤解をおそれずにいえば、保育の場の音楽は、主要3和音に限定されることが多く、ハーモニーの工夫によって多様な音楽的意味を求めることに消極的ではなかったでしょうか。1台のピアノを使って、あるいはギターを爪弾いて子どもと音楽を楽しむとき、その音楽的環境の豊かさにハーモニーの多彩さが与える影響は少なくありません。音楽が平板に聞こえるとき、リハーモナイズは音楽環境の豊かさへの飛躍となります。
 子どもたちにハーモニーをハーモニーとして取り出し、その豊かさに気づいてもらう必要はありません。しかしながら、子どもたちが豊かな和声の世界を経験することは、音楽における印象と表現の問題を考える上でも重要であることは言を俟たないでしょう。多様な意味をもつ音楽環境を子どもたちのために用意することは、保育者の大切な役目であることは、他の保育内容と変わるところがありません。

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