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【Ⅰ】保育の場の音楽とは何か3.保育の場において、音楽の三要素がもつ意味リズム、メロディ、ハーモニーは音楽を構成する3つの要素といわれますが、歌であれば歌詞も要素に加わるでしょうし、演奏形態(楽器編成)も重要な要素となります。ですから律動・旋律・和声の3要素だけでは充分に音楽を語ることはできないのですが、ここではひとまず、この音楽の三要素にふれながら、それぞれが音楽や演奏にどのような表情を与えるかを取り上げ、従来、子どもたちに気づいてもらうことの少なかった音楽を媒体にして気持ちを表現することの保育的な意味を考えます。ここに取り上げる音楽は、いわゆる西洋音楽と呼ばれるイオニアンスケール(長音階)とエオリアンスケール(短音階)を基本とする音楽に限定します。音楽はこれ以外にも多くの音階を用いた民族音楽が世界中に分布しており、日本の陽旋法や陰旋法などもその中に入ります。また、日本の音楽は基本的に1拍子であり、複数のメロディが同時進行するという意味においては多重な音の組み合わせが存在しますが、ここにいうハーモニーとは異なります。ところが、明治に始まる学校教育や流行歌、クラシック音楽への傾倒、とくにロックミュージックの影響によって、いま子どもたちが出会う音楽はその大半が西洋音楽の約束事に従うものになっていますが、子どもたちが口ずさむ歌には、変拍子や1拍子(これは言葉に忠実にメロディをつけるために起こる場合もある)が多くみられ、旋律も陽旋法(いわゆるファとシを使用しないので、四七抜き旋法とも呼ばれる、音の配列はペンタトニックスケールに同じ)が中心で、ハーモナイズの必要性を持たないものが多いといえます。 |