音楽カリキュラム編成の基本的な考え方


  • キャプションが入ります。
    キャプションが入ります。

【Ⅰ】保育の場の音楽とは何か

2.保育の場の音楽

(2)表出から表現へ
 "まぜて"と問いかけ、"いいよ"と応える。遊び場面で子どもたちが多用する常套句には、長二度の音程と言葉が内包しているリズムによる音楽的な表現がみられます。このような経験を重ねて子どもたちは、即興のみじかいフレーズを口ずさんで遊んでいます。あるいは、繰り返される動作に擬態語(視覚や触覚など、聴覚以外の感覚器官によって体得された印象を言葉で表現した語のこと。ふらふら、ゆらゆらなど)が添えられたり、擬声語(人や動物の声をまねた語。わんわん、きゃあきゃあなど)や擬音語(さらさらの砂、ざあざあ雨が降るなどのようにモノが発する音を言葉で表現した語のこと)によって動物やモノになりきったりして遊んでいます。そのような経験は、自身の行為や見たものの動きから言葉が生まれ、その言葉がリズムをつくり、それに音程が与えられ、音楽的なフレーズの断片が子どもたちによって歌われるのですが、このとき、子どもたちの中に歌うことへの積極性がどのくらいあったのかを考えると、それはまだ「表現される音楽」というよりも「表出される音楽」に近いかもしれません。
 もしかすると言葉が先ではなく、モノの動きや行為の連続から感じとられた拍動(これもバイタリティアフェクトです)に言葉が載っていくのかもしれませんが、こうした子どもたちの音楽的な営みは、表出される音楽から表現される音楽への移行期であり、表現される音楽を確実にする素地となってゆきます。

もどる    すすむ