音楽カリキュラム編成の基本的な考え方


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【Ⅰ】保育の場の音楽とは何か

2.保育の場の音楽

(1)表出される音楽
 子どもが音声言語によって自分の欲求や要求、あるいはうれしい、かなしい、たのしい、さみしいなどの気持ちを相手に伝えようとするとき、音声言語には抑揚が与えられます。言葉としての直接的な意味を持たない喃語のような音声では、とくに強弱や高低、繰り返しに気持ちが映し出され、音楽の萌芽を読み取ることができます。有意味語を獲得した後も、子どもは言葉に独自の音の高低を与えて、わらべ歌の原型のように口ずさみます。たとえば描画活動において、筆の動きを後押しするかのように言葉が繰り返されたり、保育者との会話がゆっくりとやさしく進行するとき、そのやり取りを音楽的に感じ取ることも少なくありません。
 それはあたかも描画が展開する空間に音楽的空間が重ねあわされて、描画空間が立体感を増すようです。このように、フレーズの意味は希薄であっても、感情表出の媒体の一つとして音楽的な音声が子どもによって用いられていることに保育者が気づいていることが、保育の場では重要です。
 有意味語であるか否かを問わず、子どもが発声する音楽的な抑揚が付けられた音声言語を保育者が模倣したり、あるいは保育者もみずから子どもの行為に音楽的に装飾された言葉を添えることは、やがて音楽を媒体とするコミュニケーションの土台を培うものとして大切にされなければなりません。

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