第5章 保健は保育の土台


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第4節 食育の計画 

1.はじめに

 平成17年6月17日法律第63号に公布され、平成17年7月15日に施行された「食育基本法」の「第一章 総則」の「第十一条(教育関係者等及び農林漁業者等の責務)」において、こども園の食育の推進が努力義務として位置づけられました。そこには次のように書かれています。

教育並びに保育、介護その他の社会福祉、医療及び保健(以下、「教育等」という。)に関する職務に従事する者並びに教育等に関する関係機関及び関係団体(以下、「教育関係者等」という。)は、食に関する関心及び理解の増進に果たすべき重要な役割にかんがみ、基本理念にのっとり、あらゆる機会とあらゆる場所を利用して、積極的に食育を推進するよう努めるとともに、他の者の行う食育の推進に関する活動に協力するよう努めるものとする。

 また、平成18年4月26日付けで京都市保健福祉局子育て支援部保育課長から民営保育所(園)長宛に「食育推進基本計画」について内閣府から通知があったことのお知らせがありました。それは「食育基本法 第二章 食育推進基本法等」において、国及び地方公共団体に学校、保育所等における食育の推進のため必要な施策を講ずることを義務付けたからです。その第二十条には次のように書かれています。

国及び地方公共団体は、学校、保育所等において魅力ある食育の推進に関する活動を効果的に促進することにより子どもの健全な食生活の実現及び健全な心身の成長が図られるよう、学校、保育所等における食育の推進のための指針の作成に関する支援、食育の指導にふさわしい教職員の設置及び指導的立場にある者の食育の推進において果たすべき役割についての意識の啓発その他の食育に関する指導体制の整備、学校、保育所等又は地域の特色を生かした学校給食等の実施、教育の一環として行われる農場等における学習、食品の調理、食品廃棄物の再生利用等様々な体験活動を通じた子どもの食に関する理解の促進、過度の痩身又は肥満の心身の健康に及ぼす影響等についての知識の啓発その他必要な施策を講ずるものとする。

 これをうけて、「食育推進基本計画」の「第3 食育の総合的な促進に関する事項」の「2.学校、保育所等における食育の推進」の「(2)取り組むべき施策」の「(保育所での食育推進)」において、こども園での「食育の計画」が義務付けられましたが、そこには次のように書かれています。

保育所は、乳幼児が生涯にわたる人間形成の基礎を培う極めて重要な時期に、その生活の多くの時間を過ごすところであり、食材との触れ合いや食事の準備をはじめとする食に関する様々な体験や指導を通じ、乳幼児期からの適切な食事のとり方や望ましい食習慣の定着、豊かな人間性の育成等を図ることが重要である。
このため、平成16年3月に作成・公表した「保育所における食育に関する指針」を参考に、保育所において、所長、保育教諭、栄養士等の協力の下、保育計画に連動した組織的・発展的な「食育の計画」の策定等が推進されるよう支援を行う。また、保育所の関係者は、在宅の子育て家庭からの乳幼児の食に関する相談への対応や情報提供等に努めるほか、地域と連携しつつ、積極的に推進するよう努める。

 こども園が食育をすすめる法的根拠は以上のような概要になっていますが、そもそも食育は環境教育とともに岩屋こども園アカンパニが平成11年度に行った創立50周年記念事業の一環としてすでに取り組みを進めていたところでもあり、今回の法整備によってあらためて取り上げるまでもないことはいうまでもありません。子ども一人ひとりの育ちを大切に思うのであれば、食育基本法が制定された背景にある問題点は、すでに保育現場では深く認識されてきており、それが給食のメニューや保護者への啓発に反映されてきたのではないでしょうか。
 そもそも私たち大人のつけを子どもにまわすような暮らしぶりこそ見直されなければないのであり、さらに言えば、生きる基本である「食」を法に位置づけなければならないまでに"いびつ"になってしまった日本の食生活、食習慣に根本的な問題があるのではないかという疑いを一方でいだきながらの「食育の計画」であることを、あえて冒頭に記しておきます。

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