第5章 保健は保育の土台


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第1節 病気や怪我に気づく

2.まるごとのその子を抱える

 子どもの心と体は別々に論じることができないのであれば、子どもの普段からの心の在りようが、保健に重要な意味を持つことはいうまでもありません。あるいは保育という営みが「子どもの心が育つこと」であるなら、なおさらのことです。
 家庭環境や家族との繋がりといった家でのその子の心の在りようと、こども園に居場所があるか否か、保育者や他児との関係はどのようであるかといったこども園でのその子の心の在りようから保育者が読み取り、その読み取りが変容する過程が保育者にとっての「子どもの心」です。だからこそ保育者は、"なんだかいつもと違う"と、感じ取れるのです。
 そのためには、何ができて何ができないといったような個体能力の発達にのみ目を向けるのではなく、その子のその子らしさに目を向け、その子の"ありのまま"をまずは尊重することが大切になります(そのために、保育者の一方的な指示命令だけの"させる保育"では、子どもの "ありのまま"を読み取ることができないことは言うまでもありません)。
子どもが健康であるとは、子どもがいつものようにこども園にいることに他ならないのです。子どもの"いま・ここ"の様子がいつもの様子と違わないことが、子どもが健康であることの証しなのです。

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