第4章 保育に備えること、省みること


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1.保育の計画と記録、評価、及び職員の資質向上に関する骨子

(4)子ども一人ひとりには“願い”を

 家庭生活で親は、我が子に願いを持っています。りっぱな人になってほしい、やさしい人になってほしいなどと子どもの将来を夢見ています。その一方で日々の暮らしは子どもへの助言や苦言の連続です。そうした中で子どもたちは言葉を覚え、立ち居振る舞いを身に備え、人と関わる力を育んでゆきます。
 このような家庭と親の在りように比して、こども園や保育者はどうでしょう。保育者であろうと人として子どもたちと生活をともにし、ともに歩む道程で子どもに良かれと思うこと、子どもとの日々が充実すると思うことに忠実であればそれで充分ではないでしょう。
 もしも保育の場に指導計画なるものが必要だとすれば、それは個人別指導計画だけで充分でしょう。なにも個人別指導計画などと堅苦しいことを言わなくても、子ども一人ひとりへの人としての願い、遠い将来を見据えた願いであればいいのではないでしょうか。
 子どもが見ている未来とおなじ未来に向かい、子どもとともに歩んでゆく道程に、しつけることや教えることが待っているかもしれません。ともに喜んだり、ともに悲しんだりすることもあるでしょう。道はよくよく考えて決めなければなりませんし、なにに立ちどまるかも重要でしょう。しかし、予定は必要ですが、予めのねらいを設定し、そのねらいの達成のために内容が準備されるような保育は、つまるところ個体能力発達に端を発する指導性のつよい保育になってしまう危惧をぬぐいきれません。

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