第4章 保育に備えること、省みること


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1.保育の計画と記録、評価、及び職員の資質向上に関する骨子

 人類の誕生以来、人は"育てられて育つ"(鯨岡峻)ことを脈々と繰り返してきました。その長い時間経過に比べれば、こども園という仕組み、すなわち親の就労支援をきっかけにして複数の乳幼児を施設において保育することの歴史など一瞬とも思えるほど短い時間ではないでしょうか。
 そのこども園を覗いてみると、学校や幼稚園といった仕組みにも影響されて、教える者と教えられる者が向かいあう形を基本形としてしまったために、教育や養護、計画や指導、ねらいや内容といった文言が幅を利かせてしまっています。またその背景には、できないことができるようになることにのみ焦点化された個体能力発達を発達とする心理学や、その発達心理学が用意した物差しを子どもに当てて子どもを評価し、ついにはその物差しどおりに子どもが育つように保育を計画することを求める視野の狭い保育学があるのです。
 さらに新しい指針では、保育を計画し、実施し、記録して省察し、改善するという、まるで工場か何かの品質管理マニュアルのような考え方までが大手を振ってまかり通っています。
 子どもと保育者を指導計画から解放したい、岩屋こども園アカンパニは60周年を迎えていま、そう考えています。保育課程の編成にあたり、あらためて、子どもたちが自分の子ども時代を子どもらしく生きることで、生きる意欲の水瓶を自分の中にしっかりと据えつけて、小学校以降の経験や学びによってその水瓶を満たしながらゆたかな人生を送って欲しいと願っています。
 "子ども時代を子どもらしく生きる"ことを大切にする岩屋こども園アカンパニの「保育の計画と評価」は、遺憾ながら保育所保育指針の考え方に即して行うことは困難ですので、前章までの内容との重複は承知ながら、以下に考え方の柱を要約した上で、具体的な様式の取り扱いに若干の解説を付します。

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