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第3節 環境ごとの保育【2】室内環境2.くすのきの家に特徴的な環境平成15年の暮れに完成したくすのきの家は、「おうちのようなところ」が基本コンセプトでした。引っ越してすぐにある職員が、「くすのきの家では、テーブルを拭くのもゆっくりになりますね」といいましたが、そのひとことが基本コンセプトの実現を見事に表現してくれました。くすのきの家の特徴としては、遊ぶところ、食べるところ、寝るところがゆるやかに分離されていながらも、仕切りが設けられていないことです。台所にも仕切りがなく、子どもたちは保育者の後を追いかけて出入り自由です。汁を温めたり、洗い物をしたり、それを干したりといった家庭的な振る舞いを子どもたちがいっしょに体験できることも、くすのきの家の特色です。 くすのきの家は、実生の楠木を取り囲むように建てられています。この楠木をどうしても切りたくなかったのでそのような設計になったのですが、それがかえって変化にとんだ保育空間を演出することになりました。2階の出入口では、その楠木の幹に直接ふれることができます。そして建物の周囲はすべて、子どもが遊ぶ空間になっています。また、建物自体が呼吸できるように地下には透水管が縦横に通され、床や胸高の側壁には美山杉の間伐材が使用され、壁は珪藻土で塗られています。天井には掲示用の枠が付けられ、布団収納庫をはじめとする物入れ、0歳児用の着替えだななど、使い勝手と見た目の美しさが追及されており、全体として"時間がゆっくり流れる保育空間"になっています。 |