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第2節 保育の方針 私たちのゆくえ3.感性と想像性、創造力 ―心がゆたかになる―「だいすきなお父さん」と題された絵には、祇園祭が活写されていました。四つ切画用紙が横長につながれた、まるで屏風のようなこの絵を描いた男の子のお父さんは、祇園祭が大好きで、この子は物心ついた頃から毎年、鉾見物を欠かしたことがなく、「だいすきなおとうさん」を描くことは、おとうさんが大好きな祇園祭を描くことだったのです。昼食をはさんで4時間以上もかけて「だいすきなおとうさん」を仕上げました。岩屋こども園アカンパニを代表するオペレッタ「椎の実の森」には森を滅ぼそうとする老魔女バルバラが登場しますが、このオペレッタに出演した女の子が「どうしてバルバラは悪い人になってしまったの?」と、保育者に尋ねました。 絵で絵を教えたり、オペレッタでオペレッタを教えるのではなく、絵やオペレッタに子どもとともに取り組むことで、表現することの意味を子どもたちに伝えたいのです。表現することが生きることであるとするなら、私たちは、絵やオペレッタで、生きることの意味を子どもたちとともに考えたいのです。 どんなにすばらしい絵が完成し、どんなに上手なオペレッタが本番を飾ろうとも、生きることの意味は、その取り組みの過程である日々の保育の展開に、立ち現れます。 |